ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)

ポチャン!

「そっか……そーいうことか……」

“教科書を忘れた”って言えば、誰にもヘンに思われないで正々堂々とみんなの前で、あたしと机をくっつけて、ふたりでいっしょに教科書を見られるワケだ。

だから“忘れた”なんてウソついたんだ……そうだよ、そうに違いない……。


これまでは彼の気持ちが分からなかった。

だから片想いだとずっと思ってた。


でも、今日の出来事であたしはハッキリと確信した。彼とあたしのコノ恋には“脈がある”っていうことを。

たぶん、きっと、間違いなく、彼も、まんざらじゃないはず。

そうじゃなきゃ、今まで“メガネザル”って言われてたあたしなんかといっしょに教科書を見ようとは思わないはずだし。


それに何度、席替えしても隣同士になっちゃうなんて、まるで切っても切れない運命の赤い糸で結ばれてるみたいじゃん。

いや、“赤い糸”っていうか“磁石”かも。

だって、彼とあたしは何度どんなに引き離そうとしても、その度にまた引き合ってくっついちゃう磁石の“N”と“S”だから―――
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