セックスフレンド
それから、しばらくの間、あたしは抱きしめられたままだった。

貴広の鼓動の音と、
あたしの鼓動の音だけが、

部屋中に響いてるような気がした。


そして、ようやく体が離れた。
一瞬、目が合って慌てて逸らした。


「頭冷やしてくる」


そう言って。
貴広は家から出て行って行った。


正直、ホッとしていた。

1人になると体の力が抜けていくのを感じた。
貴広の香水の匂いが残っている。


布団の中に入っても寝付けない。
ドキドキが止まらない。


その夜──
あたしが起きている間に帰って来ることはなかった。
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