セックスフレンド
ボンヤリそんなことを思っていると、

「……っ」

マナが涙を零していた。

「良かった……。瑞希くんが目を覚ましてくれて……」

マナが強くオレの手を両手で握りしめる。

涙を拭いてやりたいのに、今のオレには出来ない。

体を少し動かそうとするものなら、すぐに強い痛みが走る。

握りしめられた手を振りほどく力さえないのだから。

「瑞希くん……」

マナはオレの名前を繰り返し呼んでいた。

こんなところ、彼氏に見られたらどうするんだよ?

なんて冷静に思いながらも、嬉しかった。


その時、病室のドアが開いた。


「あら、紺野さん来てくれたのね」


久しぶりに聞く母親の声。
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