一緒に歩こう
お母さんが出ていって少ししてから彼は起き出した。

「祐介?」

「あっ杏奈…俺なんでこんなとこで寝てんだろう?」

「えっと…。」

「なんか久々に母さんの声聞いた気がする。…来てた?」

「うん。さっきまでいたよ。一回かえってまた来るって。」

「そっか。」

「祐介…体、平気なの?」
「えっ?あぁ…なんか少しだるいかも。変な寝方してたからかな?」

それは多分泣いたせい。

「杏奈…?」
「何?」
「…気付いてるよな?俺おかしいだろ?」
「えっ?」
「声かけられて我に帰るって感じ。でもそれまで自分が何をしてたのか思い出せない。」
「祐介…」

「正直に教えてくれないか?俺どうなってんだ?」

「えっと…」

タイミングよく玄関のチャイムがなった。

「お母さんかな?ちょっと行ってくるね。」

私は逃げるように玄関に走った。

「ごめんね遅くなって。」

「お母さん…それが今は落ち着いてるみたいで…。」

「あらホントに?せっかくあの子のお気に入りだったおもちゃ持ってきたのに。」

「えっ?」

「昔はおもちゃを持たせておけば病院も嫌がらずに行ってたのよ。」

「そう…ですか。」

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