誘拐女子恋をするっ!!
死神からのお知らせ。

最高の生誕。


秋になった。秋は嫌いだ。中途はんぱすぎる。そして1番最悪のことは、私の生誕。

いっも、いっも、だーれもいない。すみっこでおいしい高級ケーキを食べるだけ。

歩いていると、4歳ぐらいのカワイイ女の子がお母さんとお父さんの手につかまって、
嬉しそうに歩いていた。

「あのね~、今日真美の誕生日だから、わんわんと~、あとー、おいしいケーキがほしいな~♪」

「そうね~、真美は食いしん坊だから帰りにおいしいケーキ買って行こうか!」

「真美は何が好きかな~?」

「真美は~、ショートケーキが好き~!!!」

「よ~し!ショートケーキか!!!」

あははははは・・・・・

すっと、通りすぎた。あれがいい家族なんだろう。どんなに貧乏で恵まれて無くてもいいから、あんな家族がほしかった。一緒に買い物をして、笑って、寄り道して、また笑って
どんなに憧れたことか・・・・・。

「え・・・・・?」

私の頬に大きな雨が流れてきた。それはどしゃ降りに。いつまでたっても止まない。

「どう・・・・して・・・」

なんて、言い訳をいっていた。本当は寂しかったんだ。お母さんと買い物をしたかったんだ。お父さんとゲームしたりしたかったんだ。みんなで・・・3人で笑っていたかったんだ。それがかつて私の、夢だったんだ。小さいころからずっと、ずっと。この気持ちをギュッと、詰め込んで押し殺してた。

『仕方ないんだ・・・・、』

『お母さんたちは、忙しいんだ。』

『仕方ない、仕方ない。』

「あ・・・・・・。」

ずっと、昔の記憶。仕方ない、仕方ないと、呪文のように唱えていた。私のために『仕方なく』働いているんだ。でも私はそこにはいない。いるのは竜だけ。2人に愛されて生まれてきた。私がずっと望んでいたこと、願っていたこと、夢見てたこと。すべて、竜がもっていってしまった。おもーいものをいくつも、抱えきれてないほど。手伝おうとしても『近づかないで。』って、ことわられる。それは汚いものを見るのかのように。

「あんたなんて生まなきゃよかった。」

ああ、





私は何で生まれてきたんだろう。











誰も望んでなんか無いのに。



どうして?


どうして?
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