三叉路 ~three roads~
とにかく、別れて携帯番号を替えるほどだから、奴は郁美とよっぽど顔を合わせたくないと思う。


それを説得させなければいけないのだから、奴とはある程度面識を持っておかなくてはいけないだろう。


ただ、私は同じ高校だけど、土橋修とはクラスも違うし、ましてや話などしたこともないから、まずは話をするきっかけが必要になる。


土橋修は私のこと知っているだろうか。


……多分知らないだろう。
こんなブスで地味な女なんて。




私は、とにかく自分の容姿にコンプレックスがあった。


背は160センチと標準ではあるが、華奢な郁美とは正反対の骨太でガッチリした筋肉質なので、よけいにたくましくゴツく見える。


写真で見ると他の女の子達は細くて華奢なのに私だけがガタイがいい。


顔も、もちろん可愛くない。
小さな一重の目にやや濃いめの眉毛とだんごっ鼻が特徴的な男顔がとにかくコンプレックスだった。


頬にはポツポツとした赤いニキビが存在感をアピールしている。


少し伸びた黒髪のショートボブは、元々髪の量は多いし、ゴワゴワと硬いので、野暮ったく広がって頭が大きく見える。


私は自分の素材をよく自覚しているので、お洒落や美容には無頓 着だった。


と言うより、お洒落したくても、周りに「ブスのくせに色気づいてる」なんて笑われるような気がして、髪型一つ変えることすらためらわれた。


もし、自分の容姿が郁美みたいだったら、お洒落やメイクも頑張って、かっこいい彼氏を作って、楽しい高校生活を送るのに、とないものねだりの願望だけは強かった。
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