カメラとぼくと…
メモリー


→真っ白な空間にぼく1人だけいる。ここが一体どこなのか。ナゼここに来たのか――はたまた連れて来られたのか――わからない。知らないことずくしだ。
ただ1つわかっていることがあるとすれば、目の前に1台のカメラがあるということ。脚立を組んでぼくをじっと見つめてくる。

何もない空間にぼく1人。広くもなく狭くもない空間だ。窓もなければ、カーペットも机もない。あるのはカメラだけ。このカメラは長い導線につながっていて、奥の壁に小さい穴を開けていた。その先はわからない。扉はどこかというと、そんなものどこにもありはしなかった。存在理由はないのだろう。ぼくは閉じ込められているのだから。


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