やさぐれ女の純情


――んぐっ。シャリシャリシャリ――


新たに放り込んだ玉ねぎを噛みながら、


咲樹は見慣れた部屋を訳もなく見渡す。


ふと目を留めた先には


所蔵している本の数に合わない立派な本棚がいつもの場所に置かれている。


そのガラガラの本棚に


〝水〟から始まる本が数冊並べられた新コーナーを見つけた咲樹は、


持ち主にちらりと視線を送った。
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