恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
「あの二人、逃げようとして必死だったからうまくやり過ごしたかも。
もし何か言われても、次会ったら僕が口も聞けなくしてやりますから」



うわ……またそんな爽やかな笑顔で恐ろしいことを…。

武藤くんって隠れSだったりして…?



「でも、それだったら私を引き留めてくれればよかったのに…」



少し口を尖らせてそう言うと、武藤くんは甘い笑顔と声で私の胸を高鳴らせた。



「…僕も先輩と二人きりになりたかったから」



──ドキン…


嬉しさと少しの戸惑いが混ざった目で武藤くんを見上げると、彼の後ろにそびえ立つ建物がはっきり見えた。


──校内チャペル。


ここへ来ようと思ったわけじゃないのに、無意識に人気のない場所を求めてたら辿り着いてしまったらしい。


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