雪幻の墓標

 慰霊碑にペンダントを納めた3日後、ウォルトは妹とその夫と向かい合っていた。

 リヴェズに聞いた話では、リヴェズの外見が変化しないために長期間一か所には居られない。その為に旅を続けているのだそうだ。

「じゃあ、元気でな。時々帰って来いよ」

 町の入り口の門の近くでそう言ってエフィの手を握ると、横からその手をいきなりリヴェズが掴む。

「……?」

「じゃ、行こうか」

 さも当然という風にそのまま歩き出す。
 町から遠ざかる方向に。

「どこまで見送ればいいんだ?」
「ごめんね、君のとこの棟梁さんには話をつけてるから」

 エフィが嬉しそうに空いていたもう片方の手を取った。

「つまりね、君も一緒に旅立つんだよ」

「はぁ!?」

 リヴェズは立ち止まり、にっこり笑うと、
「エフィのためだよ」
 そう言ってまたウォルトを引きずって歩き出す。

 仮にも大工である。腕力をはじめとし力はある。
 だが、本気で振り解けない。

「ちょっと待てぇぇえ!」

 リヴェズは勿論、エフィも聞かなかった。


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