溺愛カンケイ!

歓迎会も無事に終わり店の外に出た。


「今回も拓也が花音ちゃんの事送ってあげて」

「分かりました」


「えー部長、俺が送りますよ」

田中主任が前に出るけど

「田中…、お前が送ると花音ちゃんが気まずいだろ」

部長が気を使ってくれる。


「あー、それもそうか。俺、酒飲んでたし。課長、花音ちゃんの事頼みます」


「あぁ、言われなくても。小林行くぞ」


拓也さんはそう言って歩き出した。

「は、はい。あの、お疲れさまでした。お先に失礼します」


拓也さんのあとを追った。

会話することなく歩いていると、拓也さんが急に振り返り


「花音、おいで」


左手を差し出してくれる。
嬉しくて飛びつくようにその手を取った。


「なぁ、花音…。田中には折を見て俺から話すから」

「拓也さんが?」

「あぁ。花音と田中がプライベートで二人きりで喋るとかあり得ないから」


繋いだ手に力が入り、その手の暖かさに幸せを噛みしめていた。


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