溺愛カンケイ!

涙が止まるまでしばらく泣き続けた。


「もう落ち着いた?」

「はい、」

鼻を啜り、ふっと顔を上げると優しく微笑んでいる花山主任と目が合う。


その時、会社の前の道路に高級外車がとまった。

何だろうとそちらに視線を向けると、その車から出てきたのは……拓也さんと昨日一緒にいた女の人だった。

ガタガダと身体が震える。

拓也さんの姿に周りがザワザワし始め、花山主任も拓也さんたちを視界に捉えた。

顔をしかめあれは何?と呟いていた。


二人は何か話をしてる。
拓也さんが会社に向かって歩き出した時、

「拓也さん、忘れ物」

女の人が叫び拓也さんに駆け寄り


唇にキスをした――…。


目の前が真っ暗になる。
二人は付き合っているんだという現実を突き付けられたみたい。

辛いよ、何でこんな場面を見なきゃいけないの。
止まっていた涙がまた溢れ出す。

これ以上、見ていられなくてその場から逃げ出した。
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