溺愛カンケイ!

鞄の中の携帯が鳴り取り出して見ると拓也さんからのメールだった。

えっと『分かった、後で行く』か…。


さっきから落ち着かなくて意味もなくおしぼりでテーブルを拭いてみたりして。

ふぅ、心を落ち着かせようと何回も深呼吸をする。


――…コンコン、

ノックの音のあと勢いよく扉が開き

「お待たせ、花音ちゃん。遅くなってごめんね」


謝りながら田中主任は鞄を持ってる左腕にスーツの上着を掛け右手でネクタイを緩めながら座敷に入ってきた。


「いえ、そんなに待ってませんから…」


主任は私の向かいに座り置いてあったお冷やをゴクゴクと一気に飲み干し久々に走ったよ、なんて爽やかな王子様スマイルを向ける。

額には汗が滲み、急いできてくれたんだなと。


主任が好きだと言ってくれる事が未だに信じられない私は罰当たりなんだろうか。

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