君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~

贈り物

あたしは急いで涙をふき、顔を出した。




「あ…大丈夫です。どーしたんですか…?」




「琴音チャンに伝えたい事があって。これは空斗からのお願いなの。」




お願い?




「何ですか?」



「このさい、ハッキリ言うわね。」



病室内がやけに静かになり、あたしの背中に緊張感が走る。




「空斗の心臓を、琴音チャンに移植します。」




「え…?」




それって…




「空斗の心臓があたしの心臓になる?」




「そうよ。それが空斗の最後の願いなの。」




…空斗の体の一部があたしの体の一部になる。




ということは




「あたしの病気が治って…生きられるんですか!?」




ガラッ




急に病室の扉が開き、主治医が顔をだす。




「そういう事!4時間後に移植手術をします。今日検査したところ、以上は無かったしね!それに、空斗君の心臓が死んでしまうから。」





「え…あ…」




…いきなり過ぎて頭が…




「琴音チャン、今はわけが分からないだろうけど、空斗の最後の願い、叶えてやって?」




何…それ…。




心だけじゃなくて、体も空斗のおかげで生きられるの?




それに空斗は、あたしの心の中と体で生き続ける。




ますます空斗の事大好きになっちゃうじゃん…。
< 194 / 234 >

この作品をシェア

pagetop