君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
痛い、苦しい、痛い。


心も体も。


「琴音。あんたよくそんな顔で私の前にいられるわね!!さっさと消えなさい!あんたなんか見たくないわ!」


あたしの頭に何度もリピートされる母のこの言葉。


あたしが望んであんたの嫌いな父に似たわけじゃないよ!


生んだのは、あんたでしょ!?


あたしもあんたに生まれたくなかったよ!


そんな気持ちで2日間、涙を流した目は赤くはれていて。


涙も、ほとんどかれてしまった。


泣いたってなんにも変わんないのに。


泣いたって母に殴られるだけなのに。


「私が悪いみたいじゃない」って。


何度も何度も。


重い腕をギブスに預け、病室をフラっと出た。


子供の泣き声。


おばさん達の世間話。


お見舞いに来た人の明るい声。


看護師さん達の陰口。


どれもが耳触りな音ばっかり。


何も聞こえない闇みたいなところ、無いのかな。


うるさい、うるさい、うるさい。


―――なんとなく行くあてもなく歩いていると


また、この場所に来てしまった。


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