君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~

君と出会って

「琴音…。大丈夫か?」



うさぎのように赤く目を腫らした蓮が話しかけてくる。



「大丈夫だよ。あたし、もう強くなるって誓ったから。大丈夫じゃないのは…蓮、でしょ?」



「嘘つくな。本当は、空斗が死んで、悲しくてたまらないくせに。俺にまで強がんな。」



その一言で、あたしの涙腺が緩んだ。



そうだよ。



本当は、悲しくてどうしようもない。



心にぽっかり穴が空いたみたいだ。



「う、わぁぁぁーー。…空斗、何で?」



泣いているあたしを蓮は、強く抱きしめた。



「…蓮?」



「いいよ。泣いて。悲しいよな?辛いよな?」



…いつか空斗が言っていた。



『ツライときには我慢せずに泣け。必ず俺が笑顔にして見せる。』



って。



ツライときは今だよ。



あたしは、泣いてるよ?



それなのに、何で君はあたしを笑顔にしてくれないの?



ねぇ、空斗…。



何で、死んじゃったの?


ずっと一緒だって、約束したのに。




「空斗…空斗…。」




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