君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
―――――ギィ…



重たい屋上の扉がゆっくりと開いたのが分かった。



一瞬、初めて出会ったときの空斗を思い出して。



でも、そこに立っていたのは空斗の大親友。



「琴音、やっぱココに居た。」



蓮の大人になった声。



空斗がまだ生きていたら、こんなぐらい低い声になっていたのかな?



あぁ、空斗にもこんな声で“琴音”と呼んでほしかった。



「また、空斗に話しかけてたのか?」



「うん。蓮も何か話してみたら?」




蓮はどんな話をするのだろうか。




「そだな。じゃ、俺も。



空斗。俺、お前との約束しっかりと守っているよ。




“俺が死んだら琴音を頼む”



俺、こんな約束したくなかったんだけどな!




でも、約束は約束。




一生琴音を守り続けるよ。



あ、安心しろ。



琴音には手出さねーって決めてるからさ!



俺の大親友の彼女は奪いたくねーし。



でも、チャンスをありがと、空斗。」



蓮はいつもそう。



ずーっとあたしに笑顔を向けている。



空斗に話しかけている蓮は何だか楽しそうに見えた。




「さんきゅ、琴音。じゃ、先に下降りとくから…ゆっくりしろよ!!」



そういうと蓮は駆け足で屋上を後にした。
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