君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
~琴音side~


「空ー斗♪」



あたしは空斗の部屋に入ったとたん息がつまった。




目の前で空斗が、あたしの彼氏が苦しんでいる。




それなのに、あたしは何も出来なくてーーー。




自分が愚かで悔しくなった。




医師達が治療を終え、部屋を出て行った後、急いでベットに走り寄り目を覚まさない空斗の手を握る。




「ごめん。ごめんね空斗。しんどかったよね、苦しかったよね……。あたし、何もしてあげられなかった…ごめんなさい。水族館でも、無理していたの?」




「ねぇ、答えて?答えてよ空斗。」




あたしの涙が空斗の頬に流れ落ちた。




ーーーーーすると、あたしの手が握り返された。




「…!…空斗?」




「泣か…ない…で?大…丈夫。いつもの事だから…さ」




「そー…だったの…?」




いつも、一人で苦しんでいたの?




いつも、一人で戦っていたの?




ねぇ、空斗?




今あたし、不安でたまらないよ。




いつか、あたしの前から急にフット消えてしまいそうでーーーー。
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