何度でも何度でも…
「いや、別に喧嘩とかしてないからね。ただ、久々にゆーっくりかえろーかなーと思っただけ」

海斗のマンションの座り心地のいいソファに身を沈めながらからかい交じりの喧嘩説を否定する

「ふーん、ならいいんだけど。ま、あんたたちの場合ケンカって言ってもしるふが一人で怒ってるだけでしょ?」

怒っているって言うより、すねてるのか

店にかなり人がいるらしく、電話の後ろはがやがやうるさい

なんだかんだ言って姉の店は繁盛している

お得意様が結構いるらしい

「違うって。喧嘩するときはするよー。海斗いまだに女心のわからない人だから」

口をとがらせて抗議すると

あー、はいはい。のろけは帰ってきたときに聞くわー

注文入ったから切るね。楽しみにしてるからー

とあっけらんかとした口調で言われ、電話は切られてしまった

ぷー、ぷー、と虚しく高い音が響く
< 2 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop