ｻｯｶｰﾎﾞｰﾙ

『…どれくらいで…どれくらいで…治りますか？』

不安で胸が押し潰されそうだった…

『手術をして、ﾘﾊﾞﾋﾞﾘをちゃんとして、だいたい9ヶ月です。』

頭の中が真っ白になった。

高校でｻｯｶｰがしたくて、入学した俺に9ヶ月というのは、あまりに長く感じた。


溢れてくる涙を必死でこらえた…


『どうだった？』
ﾕｷが笑顔で聞いてきた。


俺も心配させないように、笑顔で答えなければ…


なんでもないように…
大丈夫なように…


『全治9ヶ月だって…笑えねぇよな。でも、頑張るしかねぇな。』

そう言った、俺の表情は笑顔になっていたと思う。



その日は松葉杖を借りて、家に帰った。

家族には笑い事のように話し、平気をよそおい部屋に行った。

自分の部屋に入り、ﾍﾞｯﾄの上に座った。




一人になったとたんに涙が溢れてきた…



込み上げる感情を抑える事が出来なかった…


なんで俺なんだろう…



ｻｯｶｰがしたくても、出来ない…



ｻｯｶｰが俺の全てなのに…


泣いた…涙が止まらなかった…