シークレット ハニー~101号室の恋事情~


いや、だから当初の目的を忘れすぎじゃないの?
注意するために呼びつけた相手をそこまでおもてなしする必要もないのに。

五十嵐さんがキッチンに消えるのを見ながら顔をしかめる。
しばらくそうしてから、部屋を見渡してみた。

大きな液晶テレビは多分40以上はあるサイズ。
テレビの左右にはサウンドシステムが置いてあって、違うローカウンターにはコンポが乗っていた。

今どき、一人暮らしなら手のひらサイズのミュージックプレイヤーで済ましそうなモノなのに、随分本格的なコンポだった。
音楽が好きとか?

そんな事を思いながらぐるって見渡して、ソファ近くにある棚に何枚かのCDを見つけた。
無造作に積んであるそれを何気なく眺めていて、ある事に気づく。
それは、一枚のCDのジャケットに、五十嵐さんによく似た人が映ってるって事。

いやいやまさか。
そう思いながら、一枚のCDを手にとって、ジャケット写真を食い入るように見つめる。
じぃっと本当にじぃっと見てみたけど。

映っている男性は、確かに五十嵐さんに見えた。



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