シークレット ハニー~101号室の恋事情~


なんだか雰囲気がおかしな方向へ向かっていく。
ケンカしたかったわけじゃないのに、五十嵐さんが引いてくれないからまるで口論みたいになってしまって。

せっかくのおいしいパスタが、半分残ったままテーブルの上で冷めていく。


「とにかく、一度会うよ。野田に」
「そんな必要ないです」
「じゃあいいよ。勝手に葉月の会社に行くから」
「言っておきますけど、私は仕事をしに会社に行ってるんです!
野田にだっていつもそんな事言われてるわけじゃないし、ちゃんと気をつけるから大丈夫―――」


カっとなって強い口調で言っていた時。
少し怖い顔をした五十嵐さんと目が合ったかと思うと、すぐに視界が反転した。

五十嵐さんに急に押し倒されたせいで。

私を組み敷いている、怖い顔をした五十嵐さんに戸惑いながらも、口論中の気持ちを切り替えられずに私も不貞腐れながら見上げた。



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