シークレット ハニー~101号室の恋事情~


ここまでしつこくされるとは思わなかったから、今までなんとなく流してきたけれどそろそろ限界だ。
六年前の別れをきちんとやり直して、今度こそきっぱり断る。

じゃないと、そのうち本当に盗聴器を仕込まれる。
多分この人の場合、冗談よりも本気の度合いの方が高いと思うし、そう思ってしまうのは私の勘違いじゃないハズだ。

そんな事を思って苦笑いしそうになるのを我慢してチラっと視線を向けると、五十嵐さんが「おかわりしていい?」と微笑む。
その微笑みは初見の人だったら軽く悩殺されるほどで、慣れたハズの私でも鼓動が飛び跳ねるくらいの威力があって。

こんなにもカッコよく、こんなにも優しく、こんなにも完璧な人を私は知らない。

ついでに言えば。
こんなにも危ない人も知らないけど。
そこは恋してる欲目でカバーできるから問題ない。……多分。




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