シークレット ハニー~101号室の恋事情~


まさか、監査課の課長が五十嵐篤志だなんて誰も思わない。
あとは、監査課の人たちにさえ念押しでお願いしておけばきっと―――。

なんとなかなるかもしれない。
そう思って希望の光を一筋掴めそうになったのに。


「だからまぁ、困る事と言えば社内に広まる事くらいかな」


その光を闇で消したのは、誰でもない五十嵐さんだった。


「社内に広まるって、まるで自分が働いてるような言い方だな。
つーか、芸能界引退したって、今はどこかで働いてんの?
まさか無職の存在で葉月の彼氏名乗ってるわけじゃねーよな」


野田の言葉に真っ青になった私の隣で、五十嵐さんが微笑んだ。





< 260 / 313 >

この作品をシェア

pagetop