シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「なんでって、飲み会があったでしょ? 雨宮一次会で帰ったから、その後どうしたかなって。
二次会行ってから、野田さんも一緒に帰ったって聞いたから、野田さんと何か話したりしたのかなって思って」
「……あー、なんだ野田さんの事ですか」


特に何もって答えながら、五十嵐さんとの事じゃなくてホっとする。
っていうか、五十嵐さんとの事が大事件すぎて野田の事なんかすっかり忘れてたし。

苦笑いしながらチラっと営業の席を見ると、そこには先週まではなかった野田の姿があって。
ああ本当に出勤してきてたんだな、なんて呑気に思う。

一日ここで過ごしてたのに一度も野田が視界に入らなかったって、無関心にもほどがある。

別に五十嵐さんとの事だけに頭を悩ませていただけじゃなく、単純に仕事が忙しかったっていうのもあるけど。


「……ねぇ、雨宮」


呼ばれて振り向くと、じっとこっちを見る福島さんと目が合う。
その瞳は何かを勘ぐっているようで。
嫌な予感を感じながら、「なんでしょうか」って視線を逸らして答える。



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