シークレット ハニー~101号室の恋事情~


大切にされてるのがこれでもかってほど伝わってくるから、拒もうって気持ちがなくなる。
ただ抱き締められているだけなのに、今だって気持ちが満たされていくのを感じていた。

それは私の勝手な解釈で、勘違いなんだろうけど。
それでも五十嵐さんの体温に救われているのは事実だ。

これで野田と同じ“男”だなんて信じられない。


「優しくしないでください。
ここまで色々親切にしてもらっておいて今更ですけど……。
今日は男になんか甘えたくないんです」


それなのに、五十嵐さんと一緒にいると頼りたくなっちゃうから。

今日は最初から五十嵐さんとの距離感を気を付けようって思っていたのに、もう流されそうになってる。
弱ってる時に甘えるような事はしたくないのに、五十嵐さんが相手だとつい気持ちが緩んでしまう。

絡められた腕を解きながら言うと、余計にぎゅっと力を込められる。
それは少し強く感じるほどで、戸惑っていると耳に言葉を注ぎ込まれた。



< 93 / 313 >

この作品をシェア

pagetop