プラトニック
「へぇー。頑張ってるんや」

「テスト勉強はろくにしたことないくせになあ」


瑠衣の言葉にみんなが、うんうんとうなずいた。



それからわたしは、カラオケに向かう彼らと一緒に駅までの道を歩いた。

その間ずっとわたしの隣にいたのは、涼子ちゃんだ。


――『先生の周りに男子がいるときは、なるべくわたしも近くにいるようにします』


あれ以来、彼女はいつもさりげなくフォローしてくれる。

そのおかげで嫌味を言われることも減ったし、本当に感謝しなくちゃ。


「先生はこのあとデートですか?」


さっきの女性講師と同じようなことを涼子ちゃんに聞かれ、わたしは首を振った。


「今日中に片付けなアカン仕事があるから。それにそんな相手いないしね」

「あっ、じゃあ俺、立候補!」


男子のひとりが後ろから体を割り込ませてくる。

すると、すぐさまグイッとその体を押し返す涼子ちゃん。


「アホか。水野先生があんたなんか相手にするわけないやろ」

「そんなん分からへんやんか」

「分かるって。先生は大人なんやから、うちらみたいな高校生と付き合うわけないやん。
ね、先生」


といきなり涼子ちゃんの顔がこっちを向いた。


答えに詰まった、そのとき、
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