プラトニック
なかなかライブハウスから出てこないわたしを、みんなは近くで待ってくれていたらしい。
その間に栗島くんから連絡があり、今から打ち上げをするから参加しないかと誘われたという。
「俺は行くけど、先生は?」
瑠衣に聞かれ、首を振った。
「わたしがいるとみんな気を使うやろ?
せっかくなんやから仲間で楽しんできて」
本当はそんな理由じゃなかった。
とにかく早くこの場を逃げたい。
打ち上げの店に向かう彼らを見送ることもせず、わたしは足早に駅に向かった。
横断歩道で立ち止まる。
赤信号の向こうにはJRが見える。
信号の色が変わり、歩き出そうとしたそのときだった。
「水野先生」
女の声が、わたしを止めた。
「あ……涼子ちゃん」
「なんとなく気が向かなくて、やっぱり帰ることにしました」
打ち上げは? とわたしが聞く前に、言い訳のように涼子ちゃんは言った。
笑顔の口元に似合わない、挑むようなまなざし。
ざわざわと鳥肌がたった。
「わたし、わかったんです」
歩きながら彼女は言った。
「彼に何回電話しても、出えへんかった理由」
その間に栗島くんから連絡があり、今から打ち上げをするから参加しないかと誘われたという。
「俺は行くけど、先生は?」
瑠衣に聞かれ、首を振った。
「わたしがいるとみんな気を使うやろ?
せっかくなんやから仲間で楽しんできて」
本当はそんな理由じゃなかった。
とにかく早くこの場を逃げたい。
打ち上げの店に向かう彼らを見送ることもせず、わたしは足早に駅に向かった。
横断歩道で立ち止まる。
赤信号の向こうにはJRが見える。
信号の色が変わり、歩き出そうとしたそのときだった。
「水野先生」
女の声が、わたしを止めた。
「あ……涼子ちゃん」
「なんとなく気が向かなくて、やっぱり帰ることにしました」
打ち上げは? とわたしが聞く前に、言い訳のように涼子ちゃんは言った。
笑顔の口元に似合わない、挑むようなまなざし。
ざわざわと鳥肌がたった。
「わたし、わかったんです」
歩きながら彼女は言った。
「彼に何回電話しても、出えへんかった理由」