もうひとつの恋
「いや!めっちゃうまいっす!

あ!この唐揚げもう一個食べてもいいっすか?」


俺は遠慮なんて言葉をどこかに置き忘れてきたかのように、健太もそっちのけでむさぼるように食べ始めた。


横で健太が俺の勢いに驚きながら、自分の分がなくなるかもしれないと思ったのか、必死に食べている。


俺らの食いっぷりに驚いたのか、さとみさんは目をパチパチ瞬いて、珍しいものでも見るような顔をしていた。


そんなさとみさんをチラッと盗み見ながら、俺は帰りのことを考えていた。


もうすぐだな……


俺はさとみさんの弁当を味わいながら、昨日美咲さんに言われたことを思い出す。


美咲さんにからかわれたことを思い出すと、少しだけ緊張が和らいだ気がした。


よし!食い終わったら残りの動物園を堪能しよう。


それから考えたって遅くない。


俺は残りの弁当を平らげながら健太に笑いかけると、次に何を見るかを二人で一緒に考えた。



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