もうひとつの恋
さとみさんに振られた時は、彼女を気遣って頑張って元気なふりをしてた。


でも、家に帰って一人になった途端、振られた事実が俺の胸を締め付ける。


なかなか浮上出来ない自分の気持ちをどうすることも出来なくて、俺は少し迷った挙げ句、美咲さんに電話をかけることにした。


美咲さんは、俺の電話を待ってくれていたかのようにすぐに電話に出てくれた。


「もしもし?桜井?

どうだった……?」


心配そうに息を呑んでそう問いかける彼女に、俺は情けなく涙声で答える。


「振られました……」


一瞬の沈黙があった後、美咲さんはすぐに俺を慰めにかかった。


「そっかぁ……

やっぱ奇跡は起きなかったか

でも9割ダメだってわかってたわけだし、桜井は頑張ったよ!」


そんな励ましの言葉さえ、素直に聞き入れられなくて、俺は振られたときの状況を思い出す。


「さとみさん……泣いて謝るから……

それ以上言えませんでした

そんなんで頑張ったって言えるのかな?」


暗い声でそう言うと、彼女は小さくため息をついて、俺に言った。


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