もうひとつの恋
「大丈夫!あの美咲だよ?

あんなに仲良く喧嘩できる相手なんて、桜井くんくらいしかいないんだから!

それにもし桜井くんが、日曜に会う人のこと気に入ってお付き合いするってことになったとしても、美咲はきっと桜井くんが幸せなら祝福してくれるはずだから……

桜井くんが私をそう思ってくれたみたいにね?」

さとみさんはそう言って悲しそうに笑った。


俺がさとみさんに抱いた気持ちを、美咲さんが俺に抱いたとしたら……


それはそれで辛いことだと思う。


自分の中にモヤモヤと黒いシミみたいなものが広がっていくのを感じて、胸が苦しくなった。


日曜のことなどすっかりどこかへ飛んでいく。


俺は美咲さんのことで頭がいっぱいになりながら、さとみさんの言葉を繰り返し考えていた。

< 298 / 432 >

この作品をシェア

pagetop