もうひとつの恋
美咲さんの頭が小さく動いて、ようやく俺を好きなんだと認めてくれた。


俺は、はぁ……と大きく息を吐くと、そのまま美咲さんを強く抱き締める。


美咲さんの体はカチコチに固まっていたけれど、俺は嬉しくて離すことが出来ないでいた。


美咲さんの頭に顎を乗せたまま、綺麗なストレートの黒髪をそっと撫でてみる。


すると美咲さんの固まっていた体が少しずつほぐれていき、それからゆっくりと俺にもたれかかるように体重をかけてくる。


俺はさらにギュッと抱き締めながら、美咲さんの耳元でそっと囁いた。


「俺……美咲さんと連絡とれなくなって、すごく焦ったんです

このまま会えなくなったらどうしようかって……

それで初めて、俺には美咲さんが必要なんだって気づきました

だから会いに来たんです」


美咲さんは泣いていた。

少しだけ生温かい湿った感触が、シャツを通して伝わってくる。


「美咲さん?泣いてるの?」


そう聞いてみると、彼女は右手をグーにして俺の胸を軽く叩きながら「バカ……」と、少し照れたように笑った。


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