もうひとつの恋
勝手な言い分だとはわかっていたけれど、彼女に幸せでいてほしいというのは本心だ。


また泣き出してしまう結衣の頭を優しく撫で続けながら、俺は彼女が落ち着くのを待った。


しばらくそうしていると、彼女は観念したように大きく息を吸って俺の目を見る。


「わかった……

純ちゃん……今までありがと…ウッ…

次に会った時には、ビックリするくらい幸せになって……

あの時……別れなきゃ良かったって…ヒック…思わせてやるんだから……」


精一杯の強がりを見せてそう言い終わると、結衣は俺の胸に飛び込んでくる。


俺は、囁くように「そうだな……」と言うと、結衣を優しく抱きしめた。


どのくらいそうしていただろうか?


結衣が体を起こして俺から離れる。


そして俺の顔を切なそうに見つめて心を決めたように言った。


「バイバイ……純ちゃん……」

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