【短】ブランシュ・グロウ


気がついたら左手が出ていた。耳たぶすれすれのところに……触れてる。


「あっ…つい」


そのぬくもりに、急にハッとする。じ、自分、今なにを……


「ね?なんか落ち着かなくて冷やしてました」


直感で。触れたいと思った瞬間にコレだよ、セーブ効いてない。


ムダに意識するより、無意識の方がヘマしそうだ。なにをしでかすか分かったもんじゃない…。


当の本人は、動揺したのかそうでないのかわからないけど。


( 触れた指が、あつい )


「…っ、すみませ」

手を引っ込めると、「いえ」と短い返事。きまりが悪くなって、視線を泳がす。


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