僕は何度でも、きみに初めての恋をする。

瞳がわたしと向かい合う。

まっすぐに。貫いたりはしないけど、柔らかく包んで捉えるような、そんな風に。


「…………」


何を、言ってるんだ。

わたしのことなんて何も知らないくせに。

勝手なことを言って。恥ずかしいことを恥ずかしげもなく。


わたしが綺麗? そんなわけない。

こんな世界、綺麗なものなんてひとつも無くて、わたしだって、例外じゃなくて。

いつだってどろどろしててぐちゃぐちゃで、誰にだって、優しくできない。

こんな、わたし。


わたしを、きみは──


「……帰る」

「ん?」

「もう、暗くなるから帰る」


バッと立ち上がって鞄を背負い直した。

ハナはちょっと驚いた顔をして、でもすぐに「そうだね」と表情を戻す。

ふわりとした、わたしと違う、柔らかな表情。
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