僕は何度でも、きみに初めての恋をする。

──カシャ


ともう一度した音は、わたしのじゃなく、きみのカメラからだった。

悪戯気な顔のきみは「これでおあいこ」とわたしに笑う。



「俺はハナ」


少し短くなった前髪が、吹いた風に揺れる。

わたしの髪は、反対に伸びた。

本当は切りたいんだけど、前にきみが長い方が好きって言ってたから、今もまだ切れないままだ。


そんなこときみは知らないんでしょう。

いいんだよ、わたしが憶えてるんだもん。



「きみは?」



きみのことを、今もずっと。

きみが忘れてしまっても。


わたしがきみを憶えてる。


きみの思いを、記憶を抱えて。

きみの中から消えていく日々も、ひとつひとつ、拾い集めて。

大切に。いつまでも。


だから。



「わたしはセイ」



何度だってはじめよう。


きみとの出会いを、この先もずっと。




「よろしく、ハナ」




これからもきみと一緒に。


星の光るこの世界を、きみの側で。




─END─

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