朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「さあ、右腕左腕どっちがいい?」


 男は冷酷な瞳を向ける。


柚は恐怖で何も言えなくなっていた。


「おい、ちょっと待て」


 柚を後ろから羽交い絞めにしていた男が声を発した。


「なんだ?」


「こいつ……女だぞ」


「なに!?」


 男たちの顔色が変わる。


バレた……。


柚は唇を噛みしめた。


「女のくせに髪を切り、足を出して男の格好していたってわけか。どれどれ、確かに女だと言われてみると、なかなか可愛い顔をしている」


 男は柚の顎を掴み、くいっと顔を上げさせた。


ニヤニヤといやらしい目付きが、柚をぞっとさせた。


「さっきの女は逃げちまったようだし、こいつで代用するのも悪くない」
「わ、私をどうするつもりだ」


 男は舌舐めずりをして薄気味悪く笑った。
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