朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～
第二十四話　悪鬼
由良の死により、物の怪の力が増大した。


再び結界は強くなり、電流が身体に流れるように暁の身体を蝕んでいく。


「うあああああ！」


　暁の断末魔のような叫び声が洞窟内に響き渡る。


「暁っ！」


　柚は頬に涙を流しながら、突然苦しみだした暁に驚いて顔を見上げた。


まるで雷に打たれ続けているかのようだった。


星印から小さな竜巻のような風が巻き起こり、電流のような光の筋が暁の周りを囲んでいる。


　ようやく収まると、暁は地面に倒れ込むように膝をついた。


乱れた長い髪の毛が顔にかかり、顔色は蒼白くなっている。


荒い呼吸を繰り返しながら、暁は気力だけで顔を上げ貴次を睨みつけた。


「もうほとんど力は残っていないはずです。

全身が痺れるように苦しいでしょう。

もうすぐ、楽にしてさしあげますよ」


　貴次は血のついた長剣を掲げた。


暁は貴次を睨みつけたまま動くことができない。


刃がキラリと光ったまま、暁の頭上で静止した。
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