朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
不思議な力があるといっても、それは全て朱雀のおかげで、自分には何の力もないので、皆の敬意に少し戸惑ってしまう時もあるのだが、以前よりも格段に自由がきくようになったし、女達から嫉妬や憎しみの目で見られることもなくなったので、まあいいかなと割り切ることにした。


最近の柚は、女物の天女のような服を着ているが、かつらは被らずに生活している。


それについて誰からも非難されないことが柚はとても嬉しかった。


ようやく柚をありのままに受け入れてもらった気がした。


 それに、柚は気が付いていないが、滑らかな天女の衣装に柚の短い髪は意外とよく似合っていた。


柚自身、恋に目覚めたことにより女らしさが自然と溢れ出るようになったからかもしれない。


柚をこっそり憧れの対象として見る者も増え、「私も髪を切ろうかしら」と言い出す女達まで出るほどだった。


そして今、柚は部屋の外の庭に立ちながら太陽の光を浴びて日向ぼっこをしていた。


「柚」


 澄み渡るような青空を見上げていた柚は、聞き覚えのある声に後ろから名を呼ばれ、ゆっくりと振り返った。
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