朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「私の名前か……。そうだな暁(あかつき)と呼ぶがいい」
「呼ぶがいいって。なんか、やたら上から目線だな」
「それより、お主の名前は何と言う」
「私は、柚だ」
「柚か。いい名だな」
暁は先程までの傲慢そうな態度から一変して、優しい眼差しで柚を見た。
全てを包み込んでくれるような雰囲気で、軽く微笑んだ暁の姿に、柚は思わず硬直してしまった。
「どうした柚。早く飯を食いたくはないのか」
突然立ち止まった柚に、暁は振り返って尋ねる。
柚はハッと我に返って、今度は大股で足早に歩き始めた。
「そんなに腹が減っているのか。待て待て私を置いていくな」
柚はもう暁の顔が見れなかった。
顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。
それに加えて心臓がドンドンと太鼓を叩くように鳴っている。
(なんだよ、これ。どうしちゃったんだよ)
柚は大股に歩きながら、胸元をぎゅっと抑えつけた。
柚と同年代の女の子なら、この胸の鼓動は、もしかして恋? などと思うのが一般的なのだろうが、柚の頭には恋なんて文字は一切浮かばなかった。
よく分からない世界に来て、腹が減りすぎておかしくなったのだと思った。
だから顔の熱さと胸の鼓動が治まると、暁に対して今までと何ら変わらぬ態度で接することができたのだった。
「呼ぶがいいって。なんか、やたら上から目線だな」
「それより、お主の名前は何と言う」
「私は、柚だ」
「柚か。いい名だな」
暁は先程までの傲慢そうな態度から一変して、優しい眼差しで柚を見た。
全てを包み込んでくれるような雰囲気で、軽く微笑んだ暁の姿に、柚は思わず硬直してしまった。
「どうした柚。早く飯を食いたくはないのか」
突然立ち止まった柚に、暁は振り返って尋ねる。
柚はハッと我に返って、今度は大股で足早に歩き始めた。
「そんなに腹が減っているのか。待て待て私を置いていくな」
柚はもう暁の顔が見れなかった。
顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。
それに加えて心臓がドンドンと太鼓を叩くように鳴っている。
(なんだよ、これ。どうしちゃったんだよ)
柚は大股に歩きながら、胸元をぎゅっと抑えつけた。
柚と同年代の女の子なら、この胸の鼓動は、もしかして恋? などと思うのが一般的なのだろうが、柚の頭には恋なんて文字は一切浮かばなかった。
よく分からない世界に来て、腹が減りすぎておかしくなったのだと思った。
だから顔の熱さと胸の鼓動が治まると、暁に対して今までと何ら変わらぬ態度で接することができたのだった。