朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
散々泣いて疲れた柚は、早々に寝台に横になった。


手は出さないと約束してしまった暁は、さてどこに寝ようと部屋を逡巡していると、柚がむくりと起き上がって暁に言った。


「私の横で寝ればいいだろ。無駄に広いんだから、このベッド」


「いいのか?」


「添い寝してくれなきゃ、怖いじゃないか」


 柚の申し出を断わる理由もなかったので、暁は同じベッドに横になった。


すると、もう半分寝ぼけている柚は、暁の身体にすり寄り、身体をくっつけて、あっという間に寝息をたてて眠ってしまった。


 柚の柔らかな肌の感触に、何もしないと約束してしまったことを深く、それはもう心の中で悶絶するほど深く、後悔した暁であった。


しかし、安心しきって寝ている柚の寝顔を見ると、まあ仕方ないかと思えた。


(柚がその気になりさえすれば良いのだ。余のことを好きになれば、自然と許す気持ちになろう。気長に待つとするか)


 かつらも取り、男の子のような寝顔ではあったが、暁はそんな柚も可愛いと思った。


こっそり柚のおでこにキスを落として、燭台の灯りを消した。

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