朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
由良は身体から力が抜けていくのが分かった。


まさか本当に、添い寝だけだったなんて……。


柚の様子を見ていると、嘘を言っているようには見えず、由良は愕然とした。


(妃にするとおっしゃったのは帝ご自身なのに、どうして……。

はっ! もしや、今まで妻や妾を取らなかったのは、陰萎(いんい)だったからなのでは!?

ああ、どうしましょう、こんなこと誰にも相談できない。

まさか帝にそんな秘密があったなんて。

このままではお世継ぎができないし、なかなか子供ができない柚様への風当たりも強くなってしまうかもしれない。

これは、わたくしが何とかしなければ!)


 かくしてその後、暁にとっては失礼千万な勘違いをした由良は、どうにか暁にその気になってもらうために考えを練った。


まず初めに行ったことは、柚に念入りに化粧を施し髪を結いあげ身なりを美しく整えた。


しかし柚はかつらが重いだの着物が苦しいだのと不満を言い、宥めすかせてようやく綺麗な身なりで暁を迎えるが、由良がいないのをいいことにすぐに化粧を落としてかつらを取ってしまっていた。


二、三日様子を見るも、全く進展していない様子なので、真面目な由良は恥をしのんで様々な人に男をその気にさせる方法を聞いてまわり、それを柚に実践していった。
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