朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
これには暁は非常にショックを受けた。


帝という立場上、自分の思い通りにいかないことなどほとんどなかったし、帝の立場を振りかざさずとも、己の力でほとんどのことは切り開いてきた。


自分なら大抵のことは何でもできると自負していたので、こうもあっさり否定されるとは思ってもいなかった。


 振り返れば、柚に喜んでもらおうと、高価な簪や衣をプレゼントしても、微妙な顔をされるだけだった。


一応「ありがとう」とお礼は言われるが、柚は感情が顔に出るタイプなので、大して喜んでいないというのは暁にも分かった。


 きっとすぐに自分のことを好きになってくれると思っていたのに、柚は色恋沙汰に興味がないようで一向に距離が縮まらない。


暁にとって、物の怪以来の大きな壁だった。


しかも、物の怪は倒す自信があるが、柚の攻略は一向に光が見えない。


暁、初めての挫折感だった。


 暁が肩を落とし、柚に背を向けていじけていると、自分の言葉にショックを受けているとは露ほども思っていない柚は、暁の隣に座ると、コトンと頭を暁の肩に委ねた。
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