え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?




――放課後の廊下を先生とあたし、そして朝霧で歩く。




なんとなく気まずい…でもまだ先生がいてくれるからいっか…なんて思っていたのに。





「ここにある資料を適当に整理しといてくれ!」




ガラッと資料室のドアを開けて先生が言う。





「先生はちょっと用事あるから行くけど頼むな!また後で来るから!」



「えぇ!?」



「じゃっ☆」





そうして先生は颯爽と廊下を走ってどこかに行ってしまった。





残されたあたしと朝霧。







……き………気まずすぎる……!!






「…て、適当にやれだなんて先生も適当すぎるよね!アハハハハ……」



「………」





夕陽が差し込む資料室に、ペラペラ資料を捲る音と、あたしの棒読みな笑い声だけが虚しく響く。





…な……なんか反応しろや朝霧!気まず過ぎるから!とは思いつつ、決してそれを口に出すことは出来ないチキンなあたし。




「………」





仕方なくあたしもその辺にある資料を適当にイジってみる。






「………」


「………」





チラッと横目で斜め向かいに座る朝霧の様子を窺う。





綺麗な横顔が夕陽によく映えていて。






……なんかき、緊張してきた。




ドク、ドク、と心臓がここぞとばかりに自分の存在を主張してきて。




体全部が心臓になってしまったかのような、そんな錯覚に襲われる。







……言おう。








不意に、あたしは決心した。




ダメでも、振られたっていいから、言わないと。





あたしは多分一生後悔する。

いや…絶対する。







「……あ、の、朝ぎ「好きな奴って誰?」






< 49 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop