恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「第一、もしかけられていても中から開くよ。

そういう造りにしておかないと、本当に閉じ込められる生徒が出てくる可能性があるし」

「……」

「朱莉は本当に素直だね。

口では強がってても、いるはずもない幽霊にあんなに怯えちゃって……」

「……」

「お陰でこっちは抱き締めたくて仕方なかったよ。

気持ちを抑えるのが大変だった」

「……」

「幽霊が怖いなんて、可愛いね、朱莉」


言い返す力もなくなってしまって、そのまま、がくんと肩を落とした。

先輩のきれいな顔が、あたしを優しく見つめる。





……密室作戦。

ありえないくらいに、失敗。




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