恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*

いらない



「朱莉?」


先輩の声が聞こえて、ギュッと目を閉じた。


あたしが大事にされたいのは、一緒にいたいのは……、誰でもない、相沢先輩だけ。


「……」


だけど……。

山岸との事がはっきりしてないのに、そんな事言えるハズなかった。



『ごめん、朱莉。俺、諦めねーから』

山岸の震えた言葉に、ちゃんと答えられていないんだから。



先輩の口から山岸の名前が出るまで、そんな事すら忘れていた自分が嫌になる。

自分勝手にもほどがある。

山岸の事を忘れて、先輩と一緒にいられることに舞い上がったりして……。




< 207 / 364 >

この作品をシェア

pagetop