恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「なに……?」


まるで事件でも起きたようなざわめきに、教室を見渡す。

みんながドアの方を見ている事に気付いて、あたしも振り返って……、思考が停止した。


……え、


「生徒会長だっ!」

「え……、なんで2年の廊下にいるの?」

「っていうか、教室に入ってくる! どうしようっ……!」


一瞬、目の錯覚かと思ったけど……、耳に飛び込んでくる周りの声がそうじゃないって教える。

思いがけない相沢先輩の登場に、教室の女子からは黄色い悲鳴ともとれる声が次々上がる。


絶対に妙な雰囲気が教室を包んでるのに、当の本人はそんな事気にも止めない様子で教室を見回す。

そして、あたしと目が合った途端、端正な顔がにこりと微笑んだ。


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