Burn one's boats
そして帰り道。
少々遠慮がちにあのあとの事を聞いてみることにした。
「昨日、大丈夫だった?」
「あー、うん。昨日のお陰で、おれ漢文できたよ」
何と言うことだ。
目を丸くして葵を見る。
彼はいたずらっぽく笑った。
「今日さ、テストで背水の陣を使った例文を作れってあったじゃん」
「あったね」
確か……
肩を痛めているエースをを選抜に出して、背水の陣を敷いて決勝戦に臨んだって書いた気がする。
「あんときさ、おれ
『参考書を投げ捨て、背水の陣を敷いてテストに臨んだ』
って書いたんだよ。よくない?」
「あー、うん……」
葵、それ決死の覚悟で全力を尽くしてないだろ。
程なくして返ってきたテストに、彼が絶望したのは言うまでもない。
背水の陣。
どうやら彼は敵にやられ、川に落ちたようだ。
【終わり】