SHIN

2週間後のことだった。

「シン、、これ、、。」
少女はマイクロチップのようなものを手に乗せ、おずおずと僕に近づいた。

「何ですか?」
「シンに目をあげたいの。色を見せてあげたいの。
 大変だったんだよ。業者のおじさんや、運ばれるロボットからこっそり抜き出したりとか。」

ロボットに改造を加えるのは、もちろん違反である。

「それは違反です。」
「シン、あなたはほかのロボットとは違うのよ。特別なのよ。
 ねえ、もうすぐ桜が咲くよ。桜ってとても綺麗だよ。
 シンに見せたいの。お願い。」


きっとどこかが壊れていたに違いない。
僕は少女に逆らわなかった。



「シン、目を開けて。」


広がる世界。
白黒だった世界が消えうせた。
白いと思っていたドアは黄色だった。
そして目の前の少女は、色が白く、なんだか急に美しく思えた。


「シン、あなたは特別なのよ。」


心地よかった。
彼女に特別と言われることが。
彼女は細くて、美しくて、とても人を殺すようには思えなかった。


「ほら、わかる?これがオレンジ。」
「キレイですね。」
いつものように、花壇で彼女と話す。
僕は彼女と話すのが楽しかった。
彼女のことをもっと知りたかった。
プログラムに反し、時間が過ぎても花壇にいたり、夜中まで話し込む日々が続いた。

彼女の笑顔が見たかった。
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