ねぇ、好き。上
そんなことない。
誰もが傷つくのを恐れているのに、
そんなこと思うはずがない。
あたしだって、嫌だ。
辛いから。
あたしが黙っていると…
「頑固だな」
「…え?」
「いやさ、凛と喧嘩してただろ?さっき。その時も、自分の意見通してすげぇなって思った」
「そ、そんな…あたしはただ…言いたくなかっただけだよ…」
「だけど、すごいって思った」
「…そう」
「うん。だから…お願いします」
「…」
あたし、どうすればいい?
凛のこと好き…
だけど、忘れたい。
幹也くんと一緒にいれば凛のこと忘れられるかな…?
家、一緒だけど…。
少しは楽になれるかな…?
「あたしなんかでいいの?」
「岩佐がいい」
「…あたし、凛のこと好きだよ?いいの?」
「いいよ」
「…ごめんね。じゃあ、お願いします」
「ありがとう」
「いや、こちらこそありがとう…」